卵精巣とは何ですか?

 典型的な体の性の発達では、胎児は「原性腺」(精巣や卵巣などの元になる器官です)と呼ばれる2つの小さな器官を発達させていきます。そして男性の場合は、原性腺は精巣になり、女性の場合は卵巣になっていきます。そしてある種の状況では、原性腺は卵精巣(卵巣の細胞要素と精巣の細胞要素を含む性腺のことです)に発達していきます。

 性腺の2つともが卵精巣の状態で生まれてくる人もいれば、1つは卵巣でもう1つは卵精巣という状態や、1つは精巣でもう1つは卵精巣という状態などで生まれてくる人もありえます。卵精巣を持つ人の中には、完全に典型的な女性として生まれてくることもあれば、完全に典型的な男性として生まれてくることもあれば、ひと目ではどちらともつかない(形成不全外性器の)状態で生まれてくることもあります。

 卵精巣の精巣部分は性腺がんのリスクが高まります。このため、卵精巣が診断された場合は、精巣組織は通常外科的に切除されます。男の子・男性として自分を認識している患者さんの場合は、卵巣組織も切除する人が多いです。

 卵精巣を持つ人には、多くの様々な、染色体と身体構造の組み合わせが見られます。そのため、卵精巣の診断自体がそのまま、患者さんの性染色体や遺伝子構成、体内の生体構造の変異を示すことにはなりません。これら様々な要素については、別途、検査が必要になります。

性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)

(画像は、卵精巣を持って生まれた女性、ボーさんです)。