(8)なぜ、他の人とは違った形・大きさの性器を持って生まれた赤ちゃんは、医学検査を受けなければならないのですか?

 子どもが他の人とは違った形・大きさの性器(典型的な形・大きさの男性の性器や、典型的な形・大きさの女性の性器とは異なる形・大きさをした性器のことです)を持って生まれた場合、お医者さんたちは、その他の人とは違った形・大きさをした性器の原因が、先天性副腎皮質過形成(CAH)によるものかどうかを確かめるために、医学的検査を必ず行わねばなりません。それは、CAHが「塩基喪失型」と呼ばれる内分泌的問題を持っていることがあるためで、塩基喪失型の場合、もし赤ちゃんが適切な治療を受けないと、重篤な状態になるか、死亡してしまうことさえあるからです。他の人とは違った形・大きさをした性器を持って生まれた赤ちゃんの約60〜70%が、XX女児のCAHに当たります。そのような状況では、他の人とは違った形・大きさの性器は、本質的に深刻な命にかかわる問題(CAH)の症状のひとつです。(ちなみに、典型的な形・大きさをした性器を持って生まれた赤ちゃんの中にもCAHを持っている子どもはいます。ですので、現在日本ではCAHについてのスクリーニング検査(深刻な疾患があるかどうかを調べる全体的な検査)が、すべての新生児に行われています)。

 また、赤ちゃんが他の人とは違った形・大きさの性器をもって生まれた場合、お医者さんは赤ちゃんの排尿システムがちゃんと働いているか確実に調べなければなりません。もし赤ちゃんが尿路感染症のハイリスクを持っているかどうか確かめなくてはならないからです。更に、大人になってから妊娠が可能かどうかそのチャンスを増やすために注意を向けねばならない生殖器の問題があるかどうかも確かめねばなりません。

 もし、すぐには性別が分からない形・大きさをした性器を持った赤ちゃんに、「性腺異形成」(正常な形になっていない性腺のこと)や卵精巣が見つかった場合、お医者さんは、性腺ががん化する可能性があるか確かめねばなりません。お医者さんはたいていの場合、異形成の性腺や卵精巣の精巣部分を切除する早期の外科手術を考えられます。