ミュラー管遺残症候群(PMDS)とは何ですか?

 胎児は最初は、2つの種類の生殖器官を持っています。ひとつはミュラー管、もうひとつはウォルフ管です。典型的な女性の場合、ウォルフ管は消失し、ミュラー管が子宮、卵管、ヴァギナの上側までを形成します。また典型的な男性の場合は、ミュラー管は消失し、ウォルフ管が成長して、前立腺や輸精管など、男性特有の様々な器官に発達していきます。

 (46,XYの)男性の胎児がミュラー管遺残症候群(PMDS)を持っている場合、その名が示すとおり、ミュラー管がなくなることなく、残り、むしろ成長していきます。PMDSを持つ男性は、体の内側も外側も通常の男性に特有の器官を発達させますが、それに加えて、子宮や卵管といった女性に特有な体内器官もいくつか発達させることになります。この体の状態は、時に精巣が陰嚢に降りてこない状態(停留精巣)を併発することがあります。

性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)