(4)性分化疾患の医療のあり方についての国際的なコンセンサスはどのようなものですか?

 アメリカの小児科学会や、日本の専門家である日本小児内分泌学会性分化委員会は、国際小児内分泌学会やヨーロッパ小児内分泌学協会などによる2006年の「シカゴコンセンサス」を支持しています。「シカゴコンセンサス」の内容はこちらでご覧いただけますが、Pasterski, Prentice, and Hughesらによる論文、「Consequences of the Chicago Consensus on Disorders of Sex Development (DSD): Current Practices in Europe」に載っている、読みやすい要約をこちらではご紹介しましょう。

  1. 性分化疾患の医療で用いられる用語や言葉は、患者の利益を十分に考慮したものでなくてはならない。
  1. 性分化疾患の医療マネージメントについては、必要なさまざまな分野の熟練した専門家たちによるチーム医療が行われねばならない。またその中には、性分化疾患の専門の知識を持ったメンタルヘルススタッフが含まれねばならない。
  1. 性別判定は全員になされるべきだが、かならず専門的な検査と評価がなされねばならない。
  1. 特定の訓練と専門性をもった外科医しか、外科手術を行ってはならない。
  1. クリトリスなどへの手術は、性器の深刻な男性化のケースのみで考慮されるべきである。
  1. 全てのケースで、外科手術で一番に考慮されねばならないのは、美容外科的観点ではなく、機能的な問題である。
  1. 患者や家族とのオープンなコミュニケーションが必須で、治療選択の決定への参加が勧められるべきである。