「陰核肥大」とは何ですか?

 「陰核(クリトリス)肥大」とは、クリトリスが女の子の典型的な大きさよりも大きく発達した状態を指す医学用語です。陰核肥大は、時に何らかの性分化疾患のために胎児生育期に起こることがあり、そのため女の子が大きなクリトリスを持って生まれてくることがあるのです。陰核肥大は、内在的なホルモン転換が他の女性とは少し違っているために、思春期や人生後半に起こることもあります。(陰核が大きいからと言って、すぐに性分化疾患であるということではありません。陰核の大きさは女性それぞれで、多少の大きさの違いを精神的に気に病む女性の方もいらっしゃいますが、そういう方で性分化疾患である方はほとんどいらっしゃいません)。

 クリトリスは、乳房やペニスと同じように、大きさに違いがあるのが自然です。大きなクリトリスそれ自体に何らの危険性もありません。ただし、注意が必要な内在的な医学的問題(ホルモンの不安定など)のシグナルであることもあります。陰核肥大のケースでは、患者さんの健康を維持するために注意が必要な、内在的なホルモンの問題があるかどうか確かめることのできる専門のお医者さんにかかった方がいいでしょう。

 クリトリスは、ペニスとの「相同器官」と呼ばれる器官にあたります。つまり、クリトリスとペニスは 胎児生育期に同じ細胞から成長していくのです。この器官は、男性の場合は典型的には子宮の中でペニスに成長し、女性の場合は典型的にはクリトリスに成長していきます。陰核肥大を持って生まれた女の子の中には、子宮の中で性器が形成される頃、彼女の体が、典型的な状態よりもたくさんの男性ホルモンをあびたことが原因ということもあるのです。また、思春期に陰核肥大が起きる場合は、彼女の体が典型的なレベルよりも高い男性ホルモンを生成している、あるいは体内であびていることが原因ということもあるのです。(性分化疾患を持たない典型的な女性でも、男性ホルモンは卵巣から分泌されており、これにより陰毛の発育などが促進されます)。

 ここで「陰核肥大」と言っているのは、体の外に出ている部分のクリトリスのことを指して言っています。この部分は陰核亀頭(外部陰核)と呼ばれることがあります。クリトリスは、実際は体の中から陰核亀頭まで伸びており、大部分は体の中に含まれているのです。

 クリトリス生殖器であり、女性のオーガズムに反応する主な器官です。比較的少ない状況ですが、女性が、陰核亀頭への刺激がなく、ヴァギナへの挿入だけでオーガズムに達することがあるのは、ヴァギナの内壁への圧力から体内の陰核が刺激されていることがあるためです。女性が(意識的無意識的にも)性的に興奮する時は、クリトリスは典型的には血液で充血し、暖かく大きくなります。クリトリスがペニスのように、弛緩したり勃起したりする(一時的に小さくなったり大きくなったりする)のは普通のことなのです。

性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)