「マイクロペニス」とは何ですか?

(ペニスが小さいからと言って、すぐに性分化疾患であるということではありません。ペニスの大きさは男性それぞれで、多少の大きさの違いを精神的に気に病む男性の方もいらっしゃいますが、そういう方で性分化疾患である方はほとんどいらっしゃいません)。


 「マイクロペニス」とは、現在では、ペニスを伸ばした時の長さが、同じく伸ばした時の平均の長さよりも、少なくとも2.5標準偏差小さい状態に対してよく言われる医学用語です。(「伸ばした時」の長さなのは、ペニスの長さも男性それぞれによって異なり、弛緩した時も勃起した時も長さが違うからです。ですので、ペニスの長さの計測は、伸ばした時の長さが標準化されています)。この定義に従えば、ペニスの長さが最小0.6%の範囲(1,000人中最小の6人)に入る男の子や男性が、「マイクロペニス」の状態を持っていると言われることになります。

 実際には、医学テキストの中には、伸ばした時のペニスの長さが2.5センチ以下の新生児に対して、マイクロペニスを持っていると定義するものがありますし、1.9センチ以下がマイクロペニスだとするテキストもあります。

 男の子の赤ちゃんのペニスの小ささに驚く大人の人もいますが、これは、子どものペニスではなく、大人の男性の性器を見慣れているからです。ですので、大人からすれば、新生児の男の子は、実際には平均的な大きさのペニスを持っていても、平均より小さいように見えることも多々あるのです。

 ペニスは大抵は、他の体の部位とは異なり、比較的思春期に成長していきます。これはペニスの組織が、男の子の思春期に急増するホルモンに大きく反応するものだからです。ですので、大抵の男性の思春期に起きる大きなホルモン変化によって、ペニスは体の他の部位よりも大きく成長するのです。思春期にどれくらいペニスが成長するのかは、男性それぞれで、簡単に予測することはできません。

 肥満によって、実際の長さよりもペニスが小さいように見える男の子や男性もいます。これは、ペニス自体は通常の長さでも、お腹周りの脂肪に埋没しているためです。

 マイクロペニスは数多くのさまざまな状態から起こるものです。原因を特定するには、医学的検査が必要です。マイクロペニスそれ自体は性分化疾患ではありませんが、性分化疾患を持つ男の子・男性に時折見られます。

性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)