膣無形成とは何ですか?

 「膣無形成」とは、女の子・女性が、母親の子宮の中で胎児として成長していく際、ヴァギナ(膣)が発達しなかった状態のことを言います。女性の外性器のことを「ヴァギナ(膣)」と言う人もいますが、医学的には女性の外性器は実際には「外陰部」と呼ばれるもので、「ヴァギナ(膣)」とは、開陰から子宮へと伸びる管のことを言う名前なのです。赤ちゃんが生まれてくるのはこの器官を通してですし、ペニスの挿入に使われるのもこの器官です。頸部はヴァギナと子宮の接合点にあるものです。

 膣無形成には様々な原因があります。(よく見られる原因はMRKHと呼ばれる状態です。MRKHについては次の「よくある質問」をご覧ください)。もし女の子が膣無形成の状態で生まれた場合、膣無形成に関連することのある、その他の何らかの発達異常があるかどうか調べることのできる、小児科の専門医に診てもらうことが重要です。膣無形成の女の子の中には、子宮がある子もいれば、子宮がない子もいるからです。

 過去、ヴァギナ(膣)の無い女の子には、幼少期に膣を形成する手術をするよう、医師が勧めることがほとんどでした。現在では、手術を受けるかどうか、本人が大きくなって決められるまで待ったほうが良いというのが一般的です。手術の外科的・心理的結果は、成長してから行われるほうが成績が良く、女の子本人が手術をどうするか決められるまで保留したほうが、本人の同意も得られ、この種の手術後に必要なアフターケアを本人自身が行えるようになります。膣無形成を持つ女の子・女性の中には、手術をしないという選択肢もあります。圧力式ダイレーションも、手術なしの医療技術の一つで、膣拡張のために手段の一つとして考えられ得る場合もあります。

性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)